白百合の人生漂流記

徒然に百合や法律学(法解釈学)の勉強、個人的な興味関心事項について備忘録的に語ります。

債権総論ー損害賠償請求権(各論)

履行遅滞中の不能と補填賠償

→「債務者の責めに帰すべき事由」の犠牲

履行遅滞中の不能は債務者の責めに帰すべき事由によるものとみなす。(413条の2第一項)

補填賠償→債務者の責めに帰す事由が犠牲されるので、履行に代わる損害賠償を請求可能(415条1項・2項1号)

例外:因果関係の不存在→適時に履行していたとしても目的物が滅失したと考えられる場合。

債権者の責めに帰すべき事由による履行不能

 

損害賠償と価格騰貴

判例法理

買主が第三者と契約関係に立っていなかった場合(抽象的損害計算)

騰貴による価格上昇分=通常損害

→価格上昇分=転売利益=逸失利益へと変更(価格上昇分=通常損害は維持。)

→価格上昇分=転売利益=逸失利益=特別損害へと変更

 

買主が第三者と契約関係に立った場合(具体的損害計算)

買主が第三者と転売契約を結んでいた→転売利益=通常損害

買主が転売契約の相手方に損害賠償を支払った→損害賠償額=通常損害

買主が第三者から代替物を購入した→代替物購入価格=通常損害

 

学説からの批判

価格上昇分=転売利益に対する疑問(物の現有価値=転売利益か怪しい。転売を検討していない場合がわかりやすいか。)

転売利益=特別損害or=通常損害と一律に捉えることに対する疑問

価格変動が激しい(と理解される)取引で特別損害と観念するのは難しいのでは?

逆に、転売契約が存在する場合に、転売に関係する損失が原則通常損害とされるのも難しいのでは?現有価値と転売価値の切断がなされているため。

 

三者と契約=具体的損害計算に対する疑問

抽象的損害計算で処理される場合よりも定額であった時には、債務履行をした売主が価格騰貴による利得を自ら保持する結果を招く。

 

そもそも価格騰貴=基準時の問題では?

 

差額説をとるのであれば、損害=差額であるので、損害賠償の範囲を考えるという判例の考え方は違和感を持たない。