白百合の人生漂流記

徒然に百合や法律学(法解釈学)の勉強、個人的な興味関心事項について備忘録的に語ります。

法科大学院入試

皆様方ごきげんよう

 

だいぶ投稿間隔が空いてしまいました。

 

特段、書くネタがなかったというのもあるのですが、それ以上に、勉強が忙しかったというのがありました。

 

とりあえず、近況報告だけさせて頂きたく思います。

 

現状、私は法科大学院入試を控えておりまして、それに向けて準備を続けているという状態でございます。

 

法科大学院入試につきましては、早稲田大学のローから合格をもらいました。早稲田大学には、何と言っても、京大で教鞭をとっておられた、酒巻先生がいらっしゃるということで、特にいきたいと思っていたので、非常に安堵しました。また、教員においては、各分野でトップクラスの研究者を招聘していることから、非常に好感度が高かったです。

 

慶應大学のローについては、教員の面において、早稲田と比較した時に、ほとんどあえて、早稲田を蹴って慶應に行くメリットを感じられなかったので、出願自体はしましたが、試験は受けませんでした。

 

本命の京大ローにつきましては11月に試験を控えておりますので、それに向けて会社法行政法をやっているという形になります。

 

皆様方に、良いご報告ができるよう精一杯励んでいきたいと思う所存です。

 

それでは、皆様、失礼します。

ウイスキーの紹介

皆様ごきげんよう

夏も近づきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

私は、試験勉強に忙殺されております。

試験勉強の息抜きに、この記事を書いております。

 

さて、皆様はウイスキーはお飲みになられるでしょうか。

度数が強くて普段は全く飲まない、種類が多くて何を買ったらいいのかわからない、という方も多いと思われますので、初めてウイスキーを飲まれる方に向けて僭越ながらいくつか、知っておいた方が良い用語を説明した上で、初めて飲むのに適したウイスキーをいくつか挙げようかなと思っております。

 

・産地

ウイスキーには5大産地が存在します。その5大産地とはイギリスのスコットランドアイルランドアメリカ、カナダ、日本です。それぞれの産地のウイスキーは基本的にはスコッチ、アイリッシュ、バーボン、カナディアン、ジャパニーズと呼ばれます。

5大産地のウイスキーには味の傾向と言いますか、違いがあります。

スコッチは、後述します、ピートを焚いているものが多く、スモーキーなものが多いです。味は数が圧倒的に多いこともあって多種多様です。スコッチの中でもハイランド、スペイサイド、アイラなど様々な細かい産地の分類があり、それぞれが独特な味わいを持ちます。

アイリッシュは、普通はウイスキーは2回蒸留して作るのですが、3回蒸留して作られます。そのことが原因となって、ライトでクリアな味わいのものが多いです。また、穀物の香りが強いと言われます。

バーボンは、バニラの香りと独特な甘みを持つとされています。これはバーボンがホワイトオークの樽で熟成されること、そして、トウモロコシやライ麦など、他の産地とは異なる穀物が主な原料となっていることなどに起因します。

カナディアンはバーボンと同じく、トウモロコシやライ麦などを使いますが、ライ麦の割合が多い分、スパイシーな味わいになると言われています。

ジャパニーズは、スコッチに歴史的に寄せていった部分がありますが、独自の進化を遂げたものです。よく重厚かつ繊細な味わいと表現されます。ミズナラ樽は日本発祥のもので、独特の味わいを持ちます。

 

・ピート

ウイスキーは作る過程で、ピートを炊くものもあります。ピートを炊くウイスキーはスコッチに多く、ジャパニーズもスコッチを目指して作られたので、ピートを炊いているものも多いです。

このピートというのは泥炭のことで、ウイスキーに煙のような味わいを足します。

このピートというのが曲者で初めて飲まれる方は苦手に思われるかもしれません。

 

シングルモルトとブレンデッド

最初のうちは実はそこまで気にする必要はありません。ブレンデッドでもシングルモルトでも美味しいものは美味しいので。

シングルモルトというのは一つの蒸留所で作られた原酒をブレンドして作られたウイスキーのことです。ウイスキー原酒は熟成期間や、熟成させる場所、熟成に用いたタル、さらにはどの機械を使って蒸留させたかで微妙に味わいの違いが出てきます。それをブレンドして作られたのがシングルモルトです。

一方で、ブレンデッドというのは複数の蒸留所の原酒をブレンドして作られます。

 

・年数

例えば、山崎12年と聞いた時に、初めて飲まれる方は、12年熟成の原酒だけで山崎12年が作られていると思うかと思います。しかし、その内実は違います。熟成年数は最低でもその年数のものを使っているという意味で、それ以上の熟成年数のものも混ぜられています。

また、年数表記がされていないnon-ageのものもあります。これは、どういう仕組みかと言いますと、全ての年数の原酒からブレンダーがいくつかのものを選んでブレンドしたものになります。ですから、non-ageといっても全く熟成をしていないというわけでは決してなく、中には20年熟成のものも少し混ぜられていたりするかもしれません。


•樽

ウイスキー作りに欠かせないのが樽です。ウイスキーは樽の中で長い年月をかけて、熟成されます。熟成される前、すなわち蒸溜されたてのウイスキーのことをニューポットと呼ぶのですが、これはとても美味しいとは言えません。それに色も白いです。ですが、ウイスキーといえば琥珀色のイメージですよね。この色がどこから来るのかというと、樽なのです。ウイスキーは樽の中で熟成される過程で、樽の成分がウイスキー内部に溶け出し、色が移るとともに豊かな味わいを持つようになります。したがって、どのような樽で熟成をするのかは、ウイスキーの味わいを決める重要な要素になるのです。例えば、ホワイトオークで熟成されたウイスキーはバニラ香とともに独特な甘みを帯びます。シェリカスク(シェリー酒を作るのに使われた樽)で熟成されたものはフルーティーな味わいを帯びます。他にも日本原産のミズナラ樽(これがまた、面白いのですが、ミズナラ樽で一度熟成させたものはそこまで美味しくなく、2度目の熟成によって、初めて美味しくなるのだそうです。)や、ポートワインを作った樽、バーボンを作るのに使った樽など、さまざまな種類の樽があります。

 

・おすすめのウイスキー

私は、カナディアンとバーボンはほとんど飲まず、そこまで詳しくないので、とりあえず、初めて飲む方にとって飲みやすいジャパニーズとスコッチ、アイリッシュをあげようかなと思っています。

 

1.ジャパニーズ

サントリーの響Japanese Harmonyがおすすめです。非常に飲みやすい一本です。また、個人的にはかなり強くミズナラ樽の旨味を感じられました。こちらはブレンデッドになります。プレミアがついて、10000円前後はしますが、買うところで買えば定価で買える可能性があります。定価は5000円前後です。

www.suntory.co.jp

また、シングルモルトで言えば、個人的には白州のnon-ageが非常に好きですが、山崎のnon-ageがいいかもしれません。こちらも現在、プレミアがついて、7500円前後はするのかなという感じです。買うところで買えば定価で買えるかもしれません。

www.suntory.co.jp

 

2.アイリッシュ

オススメはとりあえずは、3つあります。

一つ目は、パワーズです。

アイルランドで主に消費されているもので、下にのせたゴールドラベルではない、別のボトルがワールドウイスキーアワードでワールドベストポットスチルウイスキーを受賞しています。何れにせよ、非常に飲みやすい一本です。

mukawa-spirit.com

二つ目は、ブッシュミルズです。

ブッシュミルズの中でもブラックブッシュが非常に飲みやすいと思います。アイリッシュらしい軽快さをアプリコットのような味わいとともに楽しめる一本だと思います。

https://sp.asahibeer.co.jp/products/whisky_brandy/irish/bushmills/


三つ目は、レッドブレストです。

アイリッシュの中でも力強い一本です。アイリッシュがどうしても軽いなぁと思われる方にはこちらがオススメです。

http://www.pernod-ricard-japan.com/sp/brands/domestic/whisky/redbreast/


3.スコッチ

とにかく数が多いのでピーテッドタイプから一本、ノンピーテッドタイプから一本あげたいと思います。


ノンピーテッドからはマッカラン12yeです。

シェリー熟成と言えば、これ!というほどメジャーなものではないでしょうか。とにかく甘みが強く、アイスクリームのお供にしれも非常に美味しいです。初めて飲むウイスキーがこれだとすんなりとウイスキーの世界に入れるかもしれません。

https://products.suntory.co.jp/d/5010314017408/


ピーテッドからはヴァルヴェニートリプルカスク14yeのピーテッドです。

ピーテッドタイプではありますが、そこまでピートは強くないので、オススメです。加えて、非常にフルーティーな味わいがあり、ピーティーさとフルティーさが両立している一本であり、私が最も好きなウイスキーのうちの一本です。ただ終売するらしいので、入手はお早めに。こちらは確か免税店限定ものなので、バーで飲むのが良いかもしれません。

https://www.suzusake.com/smp/item/02293.html



いかがでしたでしょうか。上にも書いた通り、ウイスキーは熟成によってその顔を変えます。他にも使った水、麦、熟成樽の置かれた場所、蒸溜を行ったポットスチルの種類などによって味わいは複雑に変わり、それをブレンダーと呼ばれる方々がブレンドして一本のウイスキーになるのです。この過程はまさに時間の奇跡であり、一本のウイスキーは様々な偶然が重なって生まれているのです。こう考えると実に面白い世界ではないでしょうか。皆様のお酒のラインナップに是非、ウイスキーを加えていただければなと思います。


それでは皆様、失礼します。



 

会社法-取締役4

取締役の義務

善管注意義務(330)と忠実の義務(355)について

多数説:違いはない。

 

異質説:善管注意義務=会社の業務執行に当たって尽くすべき義務

忠実義務=利益衝突がある場合に、個人の利益を忠実してはいけないという義務

忠実義務違反をしたら、無過失責任を負う+利益の吐き出しを行わなければならない。

問題点:注意義務にも忠実義務は当然含まれているはず。わざわざ、無過失責任を言う必要もない。また、そもそも利益衝突の有無で明確に区分できるわけでもない。

 

競業取引→取締役が自己または第三者のために行う、会社の事業の分類に属する取引

競業取引をする場合には、情報を開示して株主総会の賛成を得る必要がある。(356,365)

 

範囲:会社と取締役が取引先の取り合いになる場合には競業取引に当たる。

競合の有無は実質的に判断

資金の調達や工場用地の買収といった補助的取引は競合取引にならない。

取締役によるビジネスチャンスの奪取は善管注意義務に違反する。

取締役による人材の引き抜きは、人材の代替性・重要性に注目した上で、忠実義務に当たると判示した。

 

自己または第三者のために

→名義説:自分または第三者に権利を帰属させると理解する。

計算説:自己または第三者の計算すなわち、それらに経済的効果を帰属させる。

120条一項で計算上という言葉が使われており、ここでは使われていないことから、文義上計算説は採用しがたい。

 

取締役が同種の事業を目的とする他の会社の代表取締役に就任する場合は、包括的承認がなされる場合がある。(就任すること自体は競業取引に当たらない。

 

P社取締役が100%子会社のQ社の代取になる場合→べつにok

P社取締役が90%子会社のQ社の代取になる場合→利益衝突あり

P社取締役が100%株を保有するR社に競業取引させる場合→利益衝突あり。分身法理

 

競業の承認の効果

→承認を得ても実際に損害が生じれば任務懈怠責任を負う。(当然に損賠責任を負うわけではない。)

違反の効果:取引の効力には影響なし。

三者と取締役との間の取引であって、会社が挟む余地はない。

承認を得ずに競業取引を行えば損害額推定が働く

 

利益相反取引

会社とその取締役が取引する場合→直接取引

会社とその取締役が代理・代表する第三者が取引する場合→直接取引

会社がその取締役以外のものと取引するが、会社と取締役の利益が相反する場合→間接取引

 

直接取引の規制と間接取引の規制

大事なのは、356I2の株式会社は自分のとこ。

 

違反の効果

古い判例:絶対的無効

今:間接的取引については相対的無効

学説では、利益相反取引一般について相対的無効説で処理すべき。

 

会社法-取締役3

代表取締役について

 

選任と終任

取締役会決議によって選任される。

取締役会で決定できるのは代表取締役の選任と終任だけ。

終任させられても、取締役自体ではある。

取締役をやめさせられると、当然に代表取締役でなくなる。これは、株主総会決議によってなされなければならない。

また、欠員が出た場合は、取締役の規定に準ずる。

 

代取の権限

会社の業務に関する一切について権限が付与されているとする。

また、これを制限しても善意の第三者に対しては対抗できない。(349)

=包括的であり、不可制限的である。

→取引の相手方としては無権代理を主張される恐れがなく、安心!

 

代表権の濫用

代取が権限内の行為について、自己または第三者の利益のために行使する場合

会社を代表してXから金を借りたという行為の効力はどうか。

代取は会社を代表しているので、当該行為は当然に会社に帰属するが、相手方が代取の真意(横領)について悪意である場合まで会社に責任を負わせるのは妥当ではないのではないか?

判例:93条但書の規定の類推適用。相手方が代表取締役の真意を知っていたときもしくは、知りうべきときは法律行為が無効

学説:批判。そもそも心裡留保は表示と真意の不一致をとるが、このようなケースでは、代取は会社に効果を帰属させようとしているので、表示通りの効果の発生を望んでいる。従って、心裡留保のロジックがあたらない。また、心裡留保を持ち出すなら軽過失では対応できない。そして、代表取締役なるものが選ばれるのは取引の安全を図るためであり、そこに加えて、心裡留保の制限を加えるということは、目的に失する。

→従って、349Vの類推適用をはかろうとする。代表権の濫用はいけないよねっていうのは当然であるので、そこに類推適用をするのは自然であるし、法人は自らの責任で、代表者を選任しているのであって、また監督するシステムもあるので、できるだけ会社側が責任を負うとするのも問題がない。

会社法-取締役2

取締役会制度

3人以上で構成される取締役会が置かれる場合、代表取締役は取締役会が選任する。そしてその執行の執行を監督する。(362)

 

代表取締役→代表権を与えられた取締役

 

代表取締役以外の業務執行取締役→副社長や専務取締役など。体内的な業務執行権限を持つ。個々の業務について、代表取締役から授権され、代理するというのが普通の形。

 

監査等委員会設置会社→取締役からなる監査等委員会がおかれる。そして、社外取締役が職務執行をする。

 

指名委員会等設置会社→取締役会の権限は基本事項の決定、委員会メンバーの選定・監督、執行役の選任・監督に限られる。業務執行は執行役。

 

取締役会設置会社→各取締役が業務執行する。

 

監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社以外の取締役会設置会社における取締役会

362条に権限が明記

 

取締役会と代表取締役の権限の関係について

多数説:取締役会がすべての権限を持ち、代表取締役は取締役会から委任された範囲内で業務執行権限がある。

大隅説:代表取締役には定款・法令・取締役会会議で留保されない限り、業務執行権限が存在する。

 

取締役会の監督権限→362

監査役→法令・定款違反していないか監督する。(適法性監査)

取締役会→法令・定款違反に加えて、経営上の効率についても監督する。(妥当性監査)

 

取締役会の招集(366)

株主総会の招集との違い

1.期日

株主総会は二週間前(299)。取締役会は1週間前(368)

2.招集通知の相手方

株主総会は株主だけ。取締役会は監査役と取締役へ

3.招集通知がとどなかった場合

株主総会→126通常到達したと思われるときに到達したものとみなす

取締役会→到達主義

4.招集通知の方法・議題の記載方法

株主総会→招集の方法は書面+議題を記載する必要がある。

取締役会→書面でなくてもいい。議題の記載もいらない。当日、急に議題を取り出すのもok

 

取締役会の決議→369

代理行使は認められない。=その取締役を信任しているため。

 

特別の利害関係を有する取締役

→事前に排除される(369)

誰が特別利害関係を有するか。

356条1項1号や2号・3号の場合は特別利害関係になるのは意義なし。

譲渡制限株式の譲渡承認について、取締役が譲渡の当事者である場合も特別利害関係になるのは異議なし。

代表取締役の選任において候補者が議決権を行使するのは問題ない→業務執行の決定に関わる事項であるため。

 

代表取締役解任決議において、当事者が決議権を行使できるか。

判例・通説=無理

自らの利益を追求するなって言っても難しい。

反対説:取締役間の対立。会社と取締役の間に対立はない。ゆえに、特別利害関係はない。

業務執行権をめぐる争いのケースと、不適切な代表取締役をやめさせるケースとを分類する見解もあるが、事実上分類は難しいので、現実的ではない。

 

特別利害関係人は定足数からも除外

出席して意見陳述する権利もない。

 

取締役会の決議の瑕疵

明文上の規定がないため解釈に委ねられる。

いつでも、誰でも、いかなる方法によっても主張することができる。

瑕疵の程度が弱い場合は、取締役会決議を有効とみていい。

 

一部の取締役に対する通知漏れがある場合

判例:その取締役が出席しても結果に変わりがない特段の事情がない場合は、決議は有効であるとする。

学説:各取締役の個性を重要視して、意見を述べることが重要である。したがって、決議は無効と捉える。

 

また、特別利害関係を持つ取締役が参加してなされた決議に関して有効か無効化についても同様の議論がある

有効→いなくても結果に変わりがないなら有効

無効→いるだけでimpを持ちうる。e.g.)睨みをきかせるなど

 

効果:必要な取締役会決議無しで行為をしてしまったのと同様に処理する。

 

 

 

 

会社法-株主総会3,取締役1

反対株主の株式買取請求制度

一定の基礎的変更に関する議決がなされた際に、それに反対する株主は自己の所有する株式につき会社に買取を請求することができる。(469)

 

株主総会決議の瑕疵について

規定上3つの規定が置かれている。

1.決議の取消し

2.決議の無効

3.決議の不存在確認

 

決議の取消しについて

831条に要件が記されている。

比較的軽微な瑕疵がある場合に利用されるため、提訴期間も制限されているし、提訴権者も制限されている。

論点

提訴権者

→有効に招集の通知を受けたものが、招集を受けなかったものがいることについて訴えを起こすことができるか。

=可能。招集を受けたものが参加した場合に決議の結果が変わった可能性があり、訴えの利益が認められる。

 

提訴期間

→訴えの提起自体は三ヶ月以内になされたが、3ヶ月経過後に別の事由を追加して、主張できるか。

=無理。3ヶ月という期間制限が設けられている意味(総会決議について会社が早い段階で見通しを持ち、対処を可能とする。)を滅却する。

 

判決の効力

遡及効(839条の反対解釈)(遡って取締役の選任が無効となるが、それは表見代表取締役の規定や不実登記に基づいて処理することで、第三者の保護を図れば良い。)

 

対世効(838)

ただし、原告が敗訴した場合、判決は対世効を持たないので、別の原告が改めて取り消しを請求すること自体はできるが、3ヶ月の出訴期間があるので、現実には問題にならない。

 

訴えの利益

→基本は形成訴訟であるがゆえに、それ自体で訴えの利益が認められるが、以下の場合では問題になる。

1.取締役選任決議の取り消しが問題となっている場面で、当該取締役らが全員辞任していた場合。

もはや、訴えの利益は存在しない。

2.説明義務違反を根拠として、第一決議の取り消しを停止条件として第一決議と同内容の第二決議の効力を発生させるという決議がなされている場面で、第一決議の取り消しが請求されている場合。

この時、第一決議の取り消しを求める実益は存在しない。第一決議の取り消しにつき、取締役に過料を求めるためには、決議の取り消しが必要であると主張したとしても、それは過料を求める過程で決定されればよく、個別に確認する実益はないものとされた。

 

3.ある年度の計算書類承認に関する株主総会決議の取消訴訟の最中に、次年度の計算書類承認の承認決議がなされた場合。

ある年の決算書類が無効となると、それを前提とするそれ以降の決算書類も当然に効力を失うため、訴えの利益が存在する。

 

4.議案を否決した株主総会決議

議案の否決では何ら新たな法律関係を生じさせていないため、訴えの利益が存在しない。

 

決議取り消しの訴えの裁量棄却→831条

1項1号に該当するもので軽微なものに関しては裁量棄却が可能。

 

決議無効確認の訴えについて

決議無効に関しては不当利得返還請求の場面で意味を持つ。

決議無効の確認をすることによって、対世効を獲得するので、いちいち、個別の株主全員に対して、決議無効を主張し、立証するという手間が省けるという訴えの利益が存在する。

 

決議不存在確認の訴えについて

出訴期間や出訴権者については無効確認と同じ。対世効が認められる。また、取消しと比較して、事由が重大である。

取り消しと不存在確認の違いについて

例えば、A総会決議によって選任された取締役の全員が任期満了で辞任した場合、取消しの利益は失われると解されるが、不存在の場合は事情が変わる。なぜならば、A総会決議によって選任された取締役のもとでなされた取締役を選任するB総会決議もまた不存在であると解釈されるからである。(平取締役による総会決議は不存在事由に該当するため。)このように一度でも取締役の選任について不存在事由を満たす場合、それ以降の取締役に関しても不存在が認められるため、訴えの利益が存在すると言えるのである。

 

 

役員の選任と解任

株主総会で選任される。普通決議による。(329)

取締役に関しては331,332を見ること。

なお、取締役に関しては累積投票制度が認められるが、定款によって排除されている場合がほとんどである。

 

会計参与→374

監査役→335

会計検査人→396

 

終任

→330→民に従う。

339:役員及び会計検査人は株主総会の決議によって解任することができる。

でも、解任されたらその賠償を請求できる。

多数決原理の修正→少数株主による解任請求(854)

欠員の場合は前職者が新任が定まるまで居座る。(346)

 

 

会社法-株主総会2

1株1議決権の例外

・単元株制度

・議決権制限株式(108,115)

・自己株式

・相互保有株式

・特別利害関係を持つ者の株式

・基準日後の株式

 

議決権の代理行使について

310→代理人によって行使できる。

定款で代理人を株主に制限することが通例。

これは可能か。→合理的な理由があるなら可能。総会屋の排除などが目的なら合理的。

無効説:総会屋排除を名目としてもNG

近時有力説:総合考慮して一定の場合で排除

 

委任状勧誘制度

→会社が第三者を立てて、株主に対し、その第三者に議決権を委任する旨の合意をさせる。

 

書面投票制度

→株主参考書類と議決権行使書面を送る。

 

委任状勧誘制度と書面投票制度の異同

委任状勧誘がなされて、指示に反する議決を行なった場合→債務不履行説/無権代理として無効説とに分かれる。一方で書面投票制度で、所定の書類を送付しなければ、取消事由になる。

 

書面投票制度によると当日の動議に対応できない。(当初の議案から修正された議案について、当初、賛成の意思表示をしていた場合は、当然に反対に。当初、反対の意思表示をしていた場合は、棄権という扱いに。ただ、棄権したとしても、出席した株主の議決権の数に参入される以上、実質反対となる。)

 

決議方法(基本309条)

普通決議→定足数は1/3だが定款でいじってもおk。普通は、排除する。

特別決議→定款の変更または合併など一定の重要な事項に関する

2/3以上の賛成で可決。定足数は1/3。これは定款でも下回らせることはできない。

特殊の決議→発行する株式の全部について譲渡制限をかける場合など

決議の省略