白百合の人生漂流記

徒然に百合や法律学(法解釈学)の勉強、個人的な興味関心事項について備忘録的に語ります。

会社法-株主総会3,取締役1

反対株主の株式買取請求制度

一定の基礎的変更に関する議決がなされた際に、それに反対する株主は自己の所有する株式につき会社に買取を請求することができる。(469)

 

株主総会決議の瑕疵について

規定上3つの規定が置かれている。

1.決議の取消し

2.決議の無効

3.決議の不存在確認

 

決議の取消しについて

831条に要件が記されている。

比較的軽微な瑕疵がある場合に利用されるため、提訴期間も制限されているし、提訴権者も制限されている。

論点

提訴権者

→有効に招集の通知を受けたものが、招集を受けなかったものがいることについて訴えを起こすことができるか。

=可能。招集を受けたものが参加した場合に決議の結果が変わった可能性があり、訴えの利益が認められる。

 

提訴期間

→訴えの提起自体は三ヶ月以内になされたが、3ヶ月経過後に別の事由を追加して、主張できるか。

=無理。3ヶ月という期間制限が設けられている意味(総会決議について会社が早い段階で見通しを持ち、対処を可能とする。)を滅却する。

 

判決の効力

遡及効(839条の反対解釈)(遡って取締役の選任が無効となるが、それは表見代表取締役の規定や不実登記に基づいて処理することで、第三者の保護を図れば良い。)

 

対世効(838)

ただし、原告が敗訴した場合、判決は対世効を持たないので、別の原告が改めて取り消しを請求すること自体はできるが、3ヶ月の出訴期間があるので、現実には問題にならない。

 

訴えの利益

→基本は形成訴訟であるがゆえに、それ自体で訴えの利益が認められるが、以下の場合では問題になる。

1.取締役選任決議の取り消しが問題となっている場面で、当該取締役らが全員辞任していた場合。

もはや、訴えの利益は存在しない。

2.説明義務違反を根拠として、第一決議の取り消しを停止条件として第一決議と同内容の第二決議の効力を発生させるという決議がなされている場面で、第一決議の取り消しが請求されている場合。

この時、第一決議の取り消しを求める実益は存在しない。第一決議の取り消しにつき、取締役に過料を求めるためには、決議の取り消しが必要であると主張したとしても、それは過料を求める過程で決定されればよく、個別に確認する実益はないものとされた。

 

3.ある年度の計算書類承認に関する株主総会決議の取消訴訟の最中に、次年度の計算書類承認の承認決議がなされた場合。

ある年の決算書類が無効となると、それを前提とするそれ以降の決算書類も当然に効力を失うため、訴えの利益が存在する。

 

4.議案を否決した株主総会決議

議案の否決では何ら新たな法律関係を生じさせていないため、訴えの利益が存在しない。

 

決議取り消しの訴えの裁量棄却→831条

1項1号に該当するもので軽微なものに関しては裁量棄却が可能。

 

決議無効確認の訴えについて

決議無効に関しては不当利得返還請求の場面で意味を持つ。

決議無効の確認をすることによって、対世効を獲得するので、いちいち、個別の株主全員に対して、決議無効を主張し、立証するという手間が省けるという訴えの利益が存在する。

 

決議不存在確認の訴えについて

出訴期間や出訴権者については無効確認と同じ。対世効が認められる。また、取消しと比較して、事由が重大である。

取り消しと不存在確認の違いについて

例えば、A総会決議によって選任された取締役の全員が任期満了で辞任した場合、取消しの利益は失われると解されるが、不存在の場合は事情が変わる。なぜならば、A総会決議によって選任された取締役のもとでなされた取締役を選任するB総会決議もまた不存在であると解釈されるからである。(平取締役による総会決議は不存在事由に該当するため。)このように一度でも取締役の選任について不存在事由を満たす場合、それ以降の取締役に関しても不存在が認められるため、訴えの利益が存在すると言えるのである。

 

 

役員の選任と解任

株主総会で選任される。普通決議による。(329)

取締役に関しては331,332を見ること。

なお、取締役に関しては累積投票制度が認められるが、定款によって排除されている場合がほとんどである。

 

会計参与→374

監査役→335

会計検査人→396

 

終任

→330→民に従う。

339:役員及び会計検査人は株主総会の決議によって解任することができる。

でも、解任されたらその賠償を請求できる。

多数決原理の修正→少数株主による解任請求(854)

欠員の場合は前職者が新任が定まるまで居座る。(346)