白百合の人生漂流記

徒然に百合や法律学(法解釈学)の勉強、個人的な興味関心事項について備忘録的に語ります。

会社法-取締役3

代表取締役について

 

選任と終任

取締役会決議によって選任される。

取締役会で決定できるのは代表取締役の選任と終任だけ。

終任させられても、取締役自体ではある。

取締役をやめさせられると、当然に代表取締役でなくなる。これは、株主総会決議によってなされなければならない。

また、欠員が出た場合は、取締役の規定に準ずる。

 

代取の権限

会社の業務に関する一切について権限が付与されているとする。

また、これを制限しても善意の第三者に対しては対抗できない。(349)

=包括的であり、不可制限的である。

→取引の相手方としては無権代理を主張される恐れがなく、安心!

 

代表権の濫用

代取が権限内の行為について、自己または第三者の利益のために行使する場合

会社を代表してXから金を借りたという行為の効力はどうか。

代取は会社を代表しているので、当該行為は当然に会社に帰属するが、相手方が代取の真意(横領)について悪意である場合まで会社に責任を負わせるのは妥当ではないのではないか?

判例:93条但書の規定の類推適用。相手方が代表取締役の真意を知っていたときもしくは、知りうべきときは法律行為が無効

学説:批判。そもそも心裡留保は表示と真意の不一致をとるが、このようなケースでは、代取は会社に効果を帰属させようとしているので、表示通りの効果の発生を望んでいる。従って、心裡留保のロジックがあたらない。また、心裡留保を持ち出すなら軽過失では対応できない。そして、代表取締役なるものが選ばれるのは取引の安全を図るためであり、そこに加えて、心裡留保の制限を加えるということは、目的に失する。

→従って、349Vの類推適用をはかろうとする。代表権の濫用はいけないよねっていうのは当然であるので、そこに類推適用をするのは自然であるし、法人は自らの責任で、代表者を選任しているのであって、また監督するシステムもあるので、できるだけ会社側が責任を負うとするのも問題がない。