会社法-取締役4
取締役の義務
善管注意義務(330)と忠実の義務(355)について
多数説:違いはない。
異質説:善管注意義務=会社の業務執行に当たって尽くすべき義務
忠実義務=利益衝突がある場合に、個人の利益を忠実してはいけないという義務
忠実義務違反をしたら、無過失責任を負う+利益の吐き出しを行わなければならない。
問題点:注意義務にも忠実義務は当然含まれているはず。わざわざ、無過失責任を言う必要もない。また、そもそも利益衝突の有無で明確に区分できるわけでもない。
競業取引→取締役が自己または第三者のために行う、会社の事業の分類に属する取引
競業取引をする場合には、情報を開示して株主総会の賛成を得る必要がある。(356,365)
範囲:会社と取締役が取引先の取り合いになる場合には競業取引に当たる。
競合の有無は実質的に判断
資金の調達や工場用地の買収といった補助的取引は競合取引にならない。
取締役によるビジネスチャンスの奪取は善管注意義務に違反する。
取締役による人材の引き抜きは、人材の代替性・重要性に注目した上で、忠実義務に当たると判示した。
自己または第三者のために
→名義説:自分または第三者に権利を帰属させると理解する。
計算説:自己または第三者の計算すなわち、それらに経済的効果を帰属させる。
120条一項で計算上という言葉が使われており、ここでは使われていないことから、文義上計算説は採用しがたい。
取締役が同種の事業を目的とする他の会社の代表取締役に就任する場合は、包括的承認がなされる場合がある。(就任すること自体は競業取引に当たらない。
P社取締役が100%子会社のQ社の代取になる場合→べつにok
P社取締役が90%子会社のQ社の代取になる場合→利益衝突あり
P社取締役が100%株を保有するR社に競業取引させる場合→利益衝突あり。分身法理
競業の承認の効果
→承認を得ても実際に損害が生じれば任務懈怠責任を負う。(当然に損賠責任を負うわけではない。)
違反の効果:取引の効力には影響なし。
第三者と取締役との間の取引であって、会社が挟む余地はない。
承認を得ずに競業取引を行えば損害額推定が働く
会社とその取締役が取引する場合→直接取引
会社とその取締役が代理・代表する第三者が取引する場合→直接取引
会社がその取締役以外のものと取引するが、会社と取締役の利益が相反する場合→間接取引
直接取引の規制と間接取引の規制
大事なのは、356I2の株式会社は自分のとこ。
違反の効果
古い判例:絶対的無効
今:間接的取引については相対的無効
学説では、利益相反取引一般について相対的無効説で処理すべき。