会社法ー株主総会1
株主総会の開催時期
296条により定期株主総会を開催しなければならない。
事業年度終了後3ヶ月以内の開催が求められる。
事業年度は、1年を超えることができないが、定款によって半年や3ヶ月などとすることは可能。
議決権を有する株主の数が1000人以上の場合、書面投票制度を設けなければいけない。(296II)
株主総会の決議事項
1.剰余金配当について
株主総会で決定することができるという類のものであるが、通常、株主総会で決定される。(453,454)
2.自己株式の取得(156)
3.取締役の選任(329)
株主総会で議題となるのは招集通知で議題としてあげられたものに限る。(取締役会設置会社)
招集について(296)
株主総会は取締役の招集により開催されるのが原則だが(296III)
全員出席総会の例外が認められる。(300)内実は、全員出席というか、招集手続きのカットに全員同意したならばok
招集地・招集権者について
招集地については旧商法で規定あるが、会社法では規定がない。ただ、あまりにも特定株主に対して公平にかけると思われる場所での開催については取消事由となる。
招集権者は代表権を有するもの(取締役)である。
少数株主による招集について(297)
3%議決権を有する株主の請求によって、株主の金で招集を請求できる。
招集通知(298)
会議の目的事項が一定の重要事項に該当する場合には、当該議題に関する議案の概要を定めなければならない。
取締役設置会社については招集通知に際しては計算書類と事業報告の提出も必要(437)
株主の提案権
議題提案権(303)
議案提案権(304)
議案の要領の通知請求権(305)
会社法ー株主の地位と権利・会社の機関総論
株主平等の原則→一株あたりの価値を均等にするもの。
すなわち有する株式の数に応じて等しい扱いを受ける。(109)
株主優待制度→株主平等原則に反して無効説
一定量の株式を分母として各株券に分量単位分の権利が付与されているとみて有効とする説
そもそも、営業上のサービスの話で、株主の権利に該当するものではないので、株主平等原則から外れるとする説
が対立しているが、近年では、サービスによって享受できる利益が小さい場合は、株主平等原則にすら反さないと考える説が有力
非公開会社では、株式の属人的扱いが可能。(109II,III)
利益供与の禁止(120)
・会社・子会社の計算で行う
・何人に対しても
・経済上の利益を与える
・株主の権利の行使に関する
の要件を満たした場合、無効となる。
主に、暴力団の排除に用いられた。
判例:暴力団を用いて反対議決権の行使を防止しようとしたケースにおいて、株主の権利の行使に関すると判断
自己株式の買取→敵対株主に権利を行使させない目的での買取は利益供与に当たる。ただし、現に行われてしまった場合については、自己株式の取得について適切な手続きの上でなされていたならば、適法とするのが良いか?
協力的で有効な議決権の行使の対価として、1株あたり500円配るのは違法
福利厚生の一環として、従業員の自社株の購入を支援する場合→適切な範囲(金額・議決権講師の方法から判断)で行われている限り、福利厚生の一環として処理され、株主の権利の行使にかかわらないので、適法
株主優待乗車券の交付に際し、名義分散を放置して漫然と実施したケース→違法推定は働くものの、株主の権利の行使に関する事項でないので適法。なお、取締役には、善管注意義務に基づく、損賠請求が認められた。
不法な利益供与の場合、全額返還が求められる。(120III)
会社の機関総論
・株式会社は必ず、取締役と株主総会はおかねばならない。
・公開会社は取締役会を置かなければならない。非公開会社でもおいてもいい。
・取締役会設置会社は監査役か監査等委員会か3委員会か執行役をおく必要がある。
会社法ー法人性・資本金
法人格否定の法理
形骸事例/濫用事例
法人格を濫用したと見られる場合又は、形骸化していると見られる事例で、法人格を否定し、会社とその背後にいる社員を同一視する法理
形骸化の基準としては以下のものが挙げられる。
1.株主総会の不開催・株券の違法な不発行
2.業務の混同
3.財産の混同の積み重ね。
権利能力
会社は法人の権利能力の規定を類推適用する(民法34)
定款の目的に服する。
会社の行為が有効かどうかが問題となるときには定款の目的をゆるく解する。
「定款の記載事項から演繹的に類推可能な事項につき」、「会社目的の達成に必要な事項は有効」であると解する。しかし、目的をだいぶゆるく捉え、定款の記載事項から、客観抽象的に必要になりうべき事項については、目的の範囲内であると理解する。
これは取引安全の考慮が働いたがゆえ。
しかし、取締役の責任については、定款の目的を普通に解釈して、該当するかどうかで判断すれば足りるとする。
この二重構造が大事
会社の無償支出について→間接的に会社にとって有益であれば有効であり、取締役の責任については、支出額について会社の規模・経営状態から合理的であると考えられる限り、責任を免れる。
資本金制度
純資産>資本金・資本準備金でなければ配当を許さないなど。
純資産はバランスシート上の純資産の額を当てる。
資本金は、払込金額(株の単価)・発行券数で求める。
なお、資本金の1/2 については、準備金として資本金に組み込まないことができる。
資本充実の原則と資本維持の原則
資本充実の原則はほとんど意味をなさなくなった。
理由1.最低資本金制度がなくなった。→1円からでも会社を設立可能
理由2.当初予定していた額が集まらなくても会社を立てられるように。
理由3.現実の払込み・給付の額が資本金を下回ったとしても、補填する必要がない。
しかし、資本維持の原則(資本金を上回る額の財産が会社に維持されなければいけないとする原則)はステイ
また、会社法458条により、剰余金配当のために、300万円は最低限キープする必要がある。
剰余金配分規制
剰余金=純資産-資本金-準備金
資本金を減少させるには債権者異議手続が必要だが、準備金を欠損補填目的で減少させるときには当該手続は不要
=資本不変の原則(会社法447条)
資本確定の原則=予定された資本金の額に相当する金額の拠出ができない限り、資本金を増加できないし、会社を設立できないとする原則。しかし、上述の通り破棄された。
民事訴訟法-当事者に関する能力
・当事者能力とは
訴訟要件の一つ。=当事者能力を有しないということは本案判決の名宛人となることができないことであるから。従って、当事者能力を持たない者を当事者とする訴えについては、訴えは不適法として却下される。
・訴訟能力
単独で有効に訴訟行為をし、または受けるために必要な能力
e.g.)自ら訴えを提起したり、訴訟代理人を選任したりするなど。
実体法上の行為能力に対応する。
民訴法に特別の定めがない限り、民法の規律に従う。
民法上完全な行為能力が認められるものについては、訴訟能力もまた認められる。
満18歳(20歳)の自然人は原則として、完全な行為能力が認められているため、訴訟能力も認められることになる。
民法上行為能力が制限される者については、訴訟法上では訴訟無能力者とされる。(未成年や成年被後見人)
被保佐人、被補助人は制限的訴訟能力者と呼ばれる。
訴訟能力が要求される範囲
→陳述や証言に関しては訴訟能力が要求されない。=陳述の内容判断に関して、impは持つが、陳述そのものは可能であり、直ちに結果にimpを持つものではないから。
民法上の代理とパラレルに考えて、任意代理人に関しても訴訟能力は不要。
訴訟能力欠缺の効果
→はじめから無効。
背景:法律行為は有効であるが、取り消し可能であるという構成をとると、裁判の円滑な進行を妨げる。
補正と追認→訴訟能力欠缺が発覚したときに、裁判所は補正を当事者に瑕疵を治癒する余地を認めている。これが、補正である。法定代理人など、当事者のために有効に訴訟行為をすることができるものを出頭させて、それまでの手続きについて追認を求めるという構造である。追認した→今までの手続きが遡って有効に。追認しない→無効が確定。
なお、訴訟能力は訴訟要件でもあるが、当事者の側が争うことができる点でもあるので、訴訟能力を主張して上訴することができる。この場合、上訴に対しては、不適法却下という形ではなく、上訴棄却という形をとる。
また、訴訟無能力者または制限的訴訟能力者であることを看過して、彼らの敗訴とする本案判決がなされた場合にも、上訴・最新の訴えを提起して取り消しを求めることができる。
・未成年者
完全な無能力者
=自ら訴訟行為をすることができず、法定代理人による必要
→訴訟の専門性の高さ、法定代理人の同意を要するとすると、訴訟の円滑の進行を妨げる。
未成年者が自らした訴訟行為は法定代理人が追認しない、または、成年後自ら追認しない限り、無効
成年被後見人についても同様
・被保佐人・被補助人
当該行為の無効
同意が不要な場合→相手方の提起した訴えや上訴について訴訟行為をする場合
=相手方訴訟当事者との均衡
・意思無能力者
行為時に意思無能力であれば、無効
・訴訟上の代理
効果の帰属については民法とパラレル
訴訟代理人を選任したからといって、自らの訴訟能力・弁論能力を失うわけではない。これも民法とパラレル
当事者本人は訴訟代理人の陳述に対して取り消し・訂正することができる。=更正権
補佐人→専門的事項に関して専門家を補佐人とできる
法定代理→基本は民法とパラレル
訴訟法上の特別代理人→訴訟無能力者に法定代理人がいなかったり、法定代理人が利益相反に当たる場合など、本来は家庭裁判所で法定代理人を選任すべきだが、それは遅滞により相手方当事者に損害が発生することが起こりうる場合に、受訴裁判所の裁判長が特別代理人を選任することを認めるという制度
・訴えの利益
給付の訴えの利益
現在給付の訴えの利益→給付判決を求める訴えや給付請求権があるにも関わらずそれが履行されていない状況などは当然に訴えの利益が存在する。
確定した給付判決について再度給付判決をえる必要は認められないが、いくつか例外が存在する。e.g.)執行正本が得られず、強制執行が不可能な場合には訴えの利益が認められる。
強制執行の可否は問題とならない。
将来給付の訴えの利益
なお履行すべき状態にない請求権について、あらかじめ給付判決を求める訴えである。
現時点であらかじめ請求をする必要があるという特別な事情がある場合に限って認められる。
すなわち、現実化する蓋然性が十分に認められるか、現時点で給付判決をしておくべき必要性が認められるか。といった点が考慮される。
現時点で給付判決をしておくべき必要性が認められるようなケースとして、定期行為や義務の履行遅滞により厳酷が著しい損害を被る場合がある。また、債務者が義務の存在や内容を現に争っている事情から、原告の主張する時期における履行が期待できないことが明らかな場合がある。さらには、権利者の保護を必要とする事情がすでに顕在化している場合に、本来の給付請求権から派生する将来の給付請求権について判決を求める場合がある。(代償請求)
判例:請求権の基礎となるべき事実関係および法律関係がすでに存在し、継続が予測される。将来における事情の変動があらかじめ明確に予測しうる事由に限られる。請求異議の訴えによりその発生を証明してのみ執行を阻止しうるという負担を債務者に課しても格別不当とは言えない場合に限って認められる。
確認の訴えの利益
確認の訴えが手段として適切かどうか、確認対象の選択が適切かどうか、確認判決をすべき必要性が現に認められるか、被告とされているものが確認判決の名宛人として適切かどうか。
会社法-会社の種類・株式会社の基本構造
合資会社→有限責任の社員と無限責任の社員が存在する。有限責任の社員の責任の限度については定款に記載される。
合同会社→社員が有限責任である。会社設立時までに社員の履行が必要であるため、会社設立後に責任が問題となることはない。
・株式会社の特質
社員は間接有限責任→間接性の意味:会社が経営破綻したとき、自らの取得した株式への出資が無駄になるという点でのリスクをおう。
所有と経営の分離→所有は株主様、経営は取締役
株式が広く分散している場合、より少数での取締役の選任が可能になり、これがさらに進むと、ほとんどの株主は経営に対して無関心になり、経営陣の提案に乗るだけになってしまう。
持分会社の内部機構→すべての社員が業務執行権と会社代表権を持つ。定款等の重要事項の変更には全社員の同意が必要。
業務執行権があるとき、ある行為をしたときに、権限外の行為をしたとして責任を問われることがない。
会社代表権があるとき、会社を代表して法律行為をしたときにその効果が会社に帰属する。
株式の持分譲渡が可能になるとすると、会社にとって好ましくないものが株式を取得することがありうるので、定款等で譲渡制限が付けられることが起こりうる。
公開会社と非公開会社
公開会社:公開する株式の一部または全部について譲渡制限の定めがない株式会社。
当たり前だが上場している株式会社の株式について譲渡制限は存在しない。会社法2条5号の会社
非公開会社:公開会社以外の全ての会社を指す。発行する全株式について譲渡制限がついている会社
持分会社における持分の譲渡→持分の譲渡には、原則として他の社員全員の同意が必要。業務を執行しない有限責任社員の持分の譲渡は、業務を執行する社員全員の同意があれば可能。
・内部構造
株式会社に関する一切の事項について決議できる。取締役会設置会社では、定款で決議事項とされた事項、または会社法所定の総会決議事項についてのみ決定できる。
取締役
公開会社は取締役会をおかないといけない。
取締役会設置会社は監査役を置くタイプと置かないタイプに分けられる。
代表取締役の権限は包括的(代表権が業務に関する一切の裁判上、裁判外の事項に及ぶ)かつ不可制限的(代表権に付与した制限は善意の第三者に対抗できない。)
株式会社の監査をする。
民事訴訟法-処分権主義、訴え、訴訟上の請求
・処分権主義
訴訟の開始、審判の対象・範囲、判決によらない訴訟の終了に関する決定を当事者に委ねる考え方。
→私的自治からの要請
訴えなければ裁判なし=不告不理の原則
訴訟要件を満たさないときは本件判決をせずに訴訟判決(訴え却下判決)を出せる。
訴え却下判決の申立てがなくても却下判決を出せるか。
=積極
理由:請求には訴えの適法性についても審判を求めていると解する。
請求の範囲内での判決を出す。
e.g.)1000万円の損賠請求で2000万円の損賠を認めることはできない。
なお、上例では、一部認容判決として500万円の請求を認めることができる。
・訴え
ある者が、裁判所に対して、他の者に対する特定の権利または法律関係の主張を提示し、これに基づいて一定の内容及び形式の判決を求める申立てのことを指す。
請求の理解については2レベル存在する。
狭義の請求=原告の被告に対する特定の権利主張
広義の請求=狭義の請求に加えて、一定の内容及び形式の判決の要求を含むもの。
訴えと請求の関係についてそれぞれの場合どうなるか。考えてみればわかる。
訴えの種類=給付の訴え・確認の訴え・形成の訴え
それぞれ請求認容/請求棄却された場合の判決効について考えよ。
(既判力と執行力と形成力)
請求・訴訟物→請求の同一性・単独性を捉える際の基準
請求の特定:民訴133条2項2号に定められる。
e.g.)建物の明渡し請求→請求の趣旨=建物の明渡し は明白だが、様々な法律上の原因が考えられる。
金銭債務不存在確認訴訟のように、債務額が訴状において明示されなければ、防禦活動を決定できないということはないものは、債務額の明示がなくても不適法とまでは言えない。
訴訟物理論
実体法説(実体法上の権利を訴訟物とする考え方)/訴訟法説→一分肢説(一定の裁判要求が訴訟物であるとする考え方)/二分肢説(裁判要求のみならず、事実関係の同一性によって訴訟物を枠づける考え方)
旧訴訟物理論vs新訴訟物理論
紛争の一回的解決の強調(ゆえに二分肢説はあまり支持されない。)
旧訴訟物理論への批判:紛争の蒸し返し→同一の請求(e.g.500万円払え。)に対して、例えば不法行為による損賠と債務不履行による損賠を請求しうるが、片方が否認されたからといってもう片方を主張して訴訟するのは不経済では?
二重の認容判決
選択的併合を認めれば既存の問題を処理可能では?
→もちろん処分権主義に服する。
新訴訟物理論への批判:裁判所の釈明義務の拡大→裁判所が全ての請求権・要件事実について釈明する義務を負うリスク
請求権の実体法上の性質が不明確なこと(不法行為と債務不履行では受働債権とする相殺の許否が変わるので、まずい)
=一回的な解決の限界
確認訴訟の訴訟物
実体法上の権利が1個の訴訟物を構成する。
なお、利用権は訴訟物とならない。
理由:所有権か賃借権かなど実体法上の権利が特定されて初めてimpを持つ。
訴訟物である実体法上の権利義務関係その他の法律原因が請求の趣旨で特定されていることが必要
形成訴訟の訴訟物
旧訴訟物理論:形成権の原因の区別を要する。
新訴訟物理論:形成権の原因の区別を要しない。
訴え提起のプロセス
→訴状の必要的記載事項を記載した上で、訴状を裁判所へ送付(民訴133)
→裁判長の訴状審査に服する(民訴137条1項・138条2項)
→訴状の被告への送達(民訴138)
→訴訟係属の発生(民訴147)
裁判所
合議制/単独制
裁判長→合議体の代表者としての権限+裁判長が合議体から独立して行使する権限
受命裁判官=法定事項の処理を構成員である一部の裁判官に委任できるが、その委任を受けた裁判官のこと。
受託裁判官=他の裁判所に法廷の処理を嘱託することができるが、その処理を担当する裁判官
管轄の問題
管轄の発生根拠は法定管轄・指定管轄・合意管轄・応訴管轄の4つ。
法定管轄
法律の規定によって直ちに特定の裁判所に管轄が発生
指定管轄
民訴10条によって発生する管轄
合意管轄
当事者の合意によって生じる管轄(民訴11条)
合意が付加的管轄合意か専属的管轄合意かは争いとなりうるが、裁判所は当事者の衡平の観点から、17条に基づいて移送できるし、これは仮に専属的管轄合意がなされていても妥当する。(20条1項括弧書き)
応訴管轄
原告が訴えを提起した裁判所について、被告が管轄違いの抗弁を提出しないで本案につい弁論をし、または、弁論準備手続での申述をした場合に、その裁判所が管轄権を有することになる。(12条)
任意管轄と専属管轄
専属管轄の違反は、控訴の理由となり、絶対的上告理由にもなる。
法定管轄の分類
職分管轄→各種の事件に対する裁判権の作用をどの裁判所の役割とするかの定め
事物管轄→主に第一審裁判所を地方裁と簡易裁といずれにするか定める。訴額が140万円以下かどうか。任意管轄である。
土地管轄→裁判籍という考え。普通裁判籍(4条)特別裁判籍(独立裁判籍と関連裁判籍とに分けられる。前者の根拠条文は5条、6条、6条の2。後者の根拠条文は7条)複数の被告に対する請求のとき、38条前段の場合は併合請求の裁判籍を肯定し、38条公団の場合は併合請求の裁判籍を否定する。
管轄の基準時は訴えの提起の時
移送
管轄違いの移送(16条)
遅滞を避ける移送(17条)
簡易裁から地方裁への裁量的移送(18条)
必要的移送(19条)
移送の裁判(21条、22条1項、2項)
除斥・忌避・回避
除斥=23条1項各号によって裁判官が法律上当然に職務を執行できなくなること
忌避=23条1項以外の自由によって裁判の公正性が損なわれそうな場合に、当事者の申し立てに基づき、裁判によって裁判官を職務執行から排除すること。
24条1項
回避
当事者概念
自らの名で訴えまたは訴えられることによって、判決の名宛人となる者=形式的当事者概念
訴訟物である権利義務関係の主体を当事者と捉える=実体的当事者概念
二当事者対立構造
当事者は名宛人となるが、判決の適正さを確保するとともに、判決までの手続きを公平・合理的なものにするために権利・義務負担を課す。
当事者権→各種の申立権、訴訟代理人の選任権etc
特に大事なのは弁論権→裁判の基礎となる資料を提出する権利
義務負担→各種機関の遵守や訴訟費用の負担etc
当事者の確定
伝統的に3つの当事者確定のための基準が唱えられた。
意思説/行動説/表示説 (実質的表示説が通説)
問題となるのは、病理事例
e.g.)AがXの名前を騙って原告として訴えを提起したり、BがYの名前を騙って被告応訴する場合
手続きの段階ごとに考える必要性
1.訴状を受理した段階→誰を当事者として訴訟手続きを進めるのかという問題。訴状の記載によって当事者確定が妥当か。
理由:処分権主義が妥当するところ、通常、被告もしくは裁判所は訴状以外に原告の意思を判断する資料がない。
2.手続きがある程度進行した段階→誰を当事者として進めるかに加えて、従前の手続きの有効性が問題となる。(手続を真の当事者に対してやり直すか、それまで手続きに関与してきたものを改めて当事者の地位につかせて従前の手続きを維持するか。)
3.判決が確定した後の段階→誰に対して当該判決の効力が及ぶのか。
規範分類説→1.の段階には行為規範が問題となり、表示説に従う。
2.3.の場合には評価規範の考慮が重視されるので、行動説的な処理をする。
実質的表示説の場合は、任意的当事者変更や判決効の拡張などによって、当事者概念に結びつけられる効果を調整することで、処理する。
任意的当事者変更
表示の訂正→訴状等におけるAを同一人格たるBに変更する。
任意的当事者変更→AとBは同一人格ではない。
任意的当事者変更の法的構成→通説:新当事者による、または新当事者に対する新たな訴えの提起+旧当事者による、または旧当事者に対する訴えの取下げ
債権総論-債権者代位権2
・被代位権利
一身専属的権利は代位できない。
=行使上の一身専属権・身分専属権
財産権的な性質を有する身分上の権利については対立あり。
e.g.)相続人の権利を相続人債権者が行使できるか。
通説=negative、身分行為意思を尊重すべき。
批判:無資力の者の身分行為意思を尊重する必要があるのか。
→身分上の権利を有するものの財産管理に関する決定権保護と代位債権者の期待保護の観点から衡量すべきとする説
名誉毀損を理由とする慰謝料請求権
例外:慰謝料の支払いについて当事者の合意がある場合や債務名義が成立した場合に、債務者として慰謝料請求権を権利として行使する意思が客観的に明確となっていることを理由に代位行使を認めればいい。なお、判例は、金額が客観的に確定されれば、受領についての意思が要求されるわけではないので、一身専属性が否定されるとしている。
消滅時効の援用権
債権の保全に必要な限度で代位権を認めるべき。
債務者が無資力の状態では、将来の弁済を行おうとしている債務者の意思よりも、債権者の利益を優先するのが良い。
最も、自分の債権の保全に必要な限度で代位権を認めるとは言っても、債権の一部についてのみ消滅時効を主張するという理解にはならない。
無効取消しの主張
相対無効の例外を認める。=意思無能力を理由とする無効を意思無能力者以外でも主張できるとする。+目的物返還請求権の代位行使
したがってこの時、無効の主張は代位行使という形を取らない。
錯誤取消しの主張
二重の代位行使を認める。=錯誤取消しの意思表示を代位行使+目的物返還請求権を代位行使
・債権者代位権の行使
自己の名で他人の権利を行使する。
裁判上で行使される必要はない。
被保全債権上限ルール(423条の2)
被保全債権は金銭債権だが、代位行使される権利が金銭債権でない場合
→被保全債権額に関係なく行使可能。本来の権利に代えて、金銭での支払いを求めることはできない。
自己への給付請求(423条の3)
相手方の抗弁
・被保全債権の履行期、債務者による被代位権利の行使の抗弁
・被代位権利者は債務者の提出できる抗弁も合わせて提出可能(423の4)
代位債権者は94条2項の第三者を主張できるか。
=判例・通説:代位債権者は94条2項の代位債権者ではない。
批判:差押債権者(=94条2項・96条3項の第三者に当たる)に対抗できない抗弁は、代位債権者にも対抗できない。なぜならば、代位債権者は制度的に保全した責任財産の差押債権者となることが制度的に予定されるからである。
代位債権者に対して有する抗弁は提出不能