債権総論-債権者代位権2
・被代位権利
一身専属的権利は代位できない。
=行使上の一身専属権・身分専属権
財産権的な性質を有する身分上の権利については対立あり。
e.g.)相続人の権利を相続人債権者が行使できるか。
通説=negative、身分行為意思を尊重すべき。
批判:無資力の者の身分行為意思を尊重する必要があるのか。
→身分上の権利を有するものの財産管理に関する決定権保護と代位債権者の期待保護の観点から衡量すべきとする説
名誉毀損を理由とする慰謝料請求権
例外:慰謝料の支払いについて当事者の合意がある場合や債務名義が成立した場合に、債務者として慰謝料請求権を権利として行使する意思が客観的に明確となっていることを理由に代位行使を認めればいい。なお、判例は、金額が客観的に確定されれば、受領についての意思が要求されるわけではないので、一身専属性が否定されるとしている。
消滅時効の援用権
債権の保全に必要な限度で代位権を認めるべき。
債務者が無資力の状態では、将来の弁済を行おうとしている債務者の意思よりも、債権者の利益を優先するのが良い。
最も、自分の債権の保全に必要な限度で代位権を認めるとは言っても、債権の一部についてのみ消滅時効を主張するという理解にはならない。
無効取消しの主張
相対無効の例外を認める。=意思無能力を理由とする無効を意思無能力者以外でも主張できるとする。+目的物返還請求権の代位行使
したがってこの時、無効の主張は代位行使という形を取らない。
錯誤取消しの主張
二重の代位行使を認める。=錯誤取消しの意思表示を代位行使+目的物返還請求権を代位行使
・債権者代位権の行使
自己の名で他人の権利を行使する。
裁判上で行使される必要はない。
被保全債権上限ルール(423条の2)
被保全債権は金銭債権だが、代位行使される権利が金銭債権でない場合
→被保全債権額に関係なく行使可能。本来の権利に代えて、金銭での支払いを求めることはできない。
自己への給付請求(423条の3)
相手方の抗弁
・被保全債権の履行期、債務者による被代位権利の行使の抗弁
・被代位権利者は債務者の提出できる抗弁も合わせて提出可能(423の4)
代位債権者は94条2項の第三者を主張できるか。
=判例・通説:代位債権者は94条2項の代位債権者ではない。
批判:差押債権者(=94条2項・96条3項の第三者に当たる)に対抗できない抗弁は、代位債権者にも対抗できない。なぜならば、代位債権者は制度的に保全した責任財産の差押債権者となることが制度的に予定されるからである。
代位債権者に対して有する抗弁は提出不能